前回はざっくりと縫製業界の中での仕事の進め方(製品1つに対する職人の使い方)についてお話いたしました。
今回は縫製業界の中で、今度はゴルフグローブ業界というものはどういう位置づけにあるかを考えてみたいと思います。
一般的なアパレル業は、先にも述べました通り、1つの製品に対して複数の人が仕事を分担し、流れ作業的に仕事を行います。
こうすることで生産スピード、生産クオリティの均一化、総合的なコストダウン等々のメリットが得られるわけですが、手袋に限ってはなかなかそう上手くいくものではないようです。
縫製作業を分担すると、そこで必ず糸が切れます。そして、つなぎ合わせる(もしくは糸が重なる)部分がかならずでてきます。
手袋って、使っている間は手にまんべんなく触れているため、少しでも気になるところが感じられるとストレスを感じます。たとえば、そういった糸の重なりが固い膨らみになって指に当たっている、だとか。
手袋を縫うときは、ほとんど分担作業ができないのです。おそらくアジア諸国、大きな規模のグローブ工場であってもそのように分担作業でやっているところは少ないでしょう。
その代わり、例えばゴルフグローブの場合、ある人はずっと20サイズのグローブを縫う、ある人はずっと21サイズのグローブを縫う、といった形で作業を振り分けることはできます。
縫う人は、そのサイズに関してはものすごい枚数のグローブを縫い上げているため、これもまた安定した生産量とクオリティが期待できます。
その他の作業においても、洋服を縫う人では考えられないような細かい作業や緻密さが要求されるため、一般的に手袋業界というのはすぐに参入できる業界ではない、という共通見解があるようです。
手袋業界というのは、決して華やかな業界ではないのですが、こと作業の内容においては、一朝一夕では身につかない独特の知識と経験が要求される大変やりづらい業界、言い換えるとやりがいのある業界だ、と言われています。