821シリーズは、いわゆるスタンダードタイプのグローブ。
指がまっすぐピンと伸びた状態に縫い上げます。
一般的な製法でどんな方の手にもフィットするようにできています。
一方661シリーズは指がグリップを握るように湾曲した形で仕上げています。
湾曲仕上げをするためには、仕上げのアイロンはもちろん湾曲型ですし、それ以前にパーツの形も全然異なってきます。
(661シリーズと821シリーズでは共通のパーツは無いので、どちらも専用の抜き型を使います)
指の横の面のパーツを、ハギと呼んでいるのですが、湾曲のハギは取り付けるのに繊細な作業を要求されます。
ハギが曲がっている方が661シリーズ用、まっすぐなのが821シリーズ用です。
少し専門的な話になりますが、たとえば2つの生地を縫い合わせるとして、端が直線の部分と直線の部分を重ね合わせて縫製をする場合より、直線の部分とカーブの部分をあわせて縫製する場合のほうが難しい作業になります。
直線の部分と直線の部分を縫製する場合は、線と線が合うように重ねてまっすぐ縫うだけなのであまり難しい作業ではありません
(それでも、始めと終わりできちんと帳尻があうようにしたり、線がぶれないように縫うのにはそれなりのテクニックが要求されます)
661シリーズの場合、まっすぐな線とカーブの線をあわせて縫製します。
この場合、真っ直ぐな方をカーブの線に合わせるように手で曲げながら縫い合わせていきます。
こうやって立体的な指の湾曲を作ります。
さらに、この写真のとおり、ハギの上側と下側(手の甲側と掌側)では長さが違います。
そのため、手の甲側の指の部分は長く、手のひら側の指は短く計算し、手のひらのパーツや手の甲のパーツを裁断します。
そうして出来上がったグローブ#661シリーズはもちろんどなたにでも合うように作っているのですが、今ではドラコン選手や手の大きな男性の方に特に愛好家が多いように思います。