たくさんの種類の糸を適材適所で使い分ける。

グローブを一つ縫い上げるのに、普通は1台のミシンで同じ糸を使って縫製しています。
中国やアジア圏の手袋工場では量産をするために同じ型番のミシンをたくさん並べますが、それでも全部同じ糸を取り付けて流れ作業的に縫っています。国内では、四国の手袋職人さんは、部屋の中に工業用ミシンが1台だけ、というところも多いです。

もちろんその作り方でも強度も使い心地も問題なく提供できるのですが、弊社では1枚のグローブに使用している糸は4種類。

ネーム刺繍をする時に使う、刺繍糸。

これは、発色のよいポリエステルが多めの刺繍専用糸です。

弊社でのこだわりは、他メーカーやアパレルブランドなどが一般的に刺繍で使うものよりも細い番手の糸を使用していることです。

糸が細いと、細かい刺繍ができるようになります。刺繍が入る部分が狭いので必然的に字が小さくなり、そうすると太い糸では字の細かい部分がつぶれてしまって読めなくなります。 同じ面積を塗りつぶすような刺繍をしても、太い糸より細い糸のほうがステッチ数が多くなり糸の長さも増えます。 また、刺繍の途中で糸切れして作業が中断するようなトラブルも増えるのですが、太い糸をざくざく縫って刺繍するより細い糸を幾重にも重ねて作った文字のほうが仕上がりが断然美しいです。

続いて本体のほとんどを縫う本縫い糸。

一般的には比較的安価で熱に強い綿糸(もしくはポリエステルで綿っぽい風合いを出したスパン糸)を使うことが多いようですが、弊社では本縫い糸としてレジロン糸を使用しています。
レジロン糸は衣服の中でも特に伸びる部分に使用する糸で、糸自体にも伸度があるのが特徴です。
弾力があるとはいっても伸びきってしまっては困るので、通常の縫製で使うであろう太さより太めのものを使用しています。

さらに、本縫いのパーツや弾力を持たせない箇所をぬう本縫い糸。ほとんど伸びないスパン糸とレジロン糸の中間ぐらいの伸度でその分先ほどの糸よりも細めを使用し、手へのアタリを少しでも和らげるよう工夫しています。

そして縁飾りをするのに使う、本縫い糸。

グローブ本体と色が異なるケースが多く、また見栄えを考えて太さをチョイスしています。

ざっくり、これだけの種類の糸を使っているのですが、糸は消耗品。

そして、あまりに糸を使わなかったら巻き癖が付いてしまったり劣化してしまったりと良いことがありません。

下糸を小さなボビンに巻いてそのまま使わずに数年放置してしまうと糸が弱ります。

また、巻き癖は糸トラブルの原因にもなります。
ミシンの引きだしに入っていた、ボビンの下糸。こんな糸を見つけたら、もったいないけど捨てます。

良いグローブを作るために。

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