羊皮のグローブ
ゴルフグローブは革、特に羊皮を使ったものが一般的でした。ある程度の強度としなやかさと手触り、そしてなにより手への一体感に優れている点が大きなポイントです。今でももちろん、主流のゴルフグローブの素材のひとつです。
ゴルフグローブの素材
革を作る業者(タンナーさん)が言うには、野球のグローブ用の革があっても、ゴルフグローブ用の革はなかった。
また、繊維業者が言うには汎用の繊維素材はあっても、ゴルフグローブ専用素材はいまだかつてなかった。
なぜなかったのかというと、たとえ開発したとしてもシェアが低く売り上げにならないから。技術的には開発できないわけではない。
ゴルフショップに売っているグローブで”合成皮革”というと、本革のように表面が加工されたゴムのような素材や、車の内装でよく使われるスエード調の素材をイメージするのではないでしょうか。
製造業をやっていると生地屋さんによくお世話になるのですが、おおよそそういう所でグローブ用の生地を探すと上記のような素材は簡単に手に入ったりします。
そういった素材を仕入れて裁断して縫製すれば、とりあえず自社オリジナルのグローブができると思います。
しかし、それでは市販のグローブとなんら変わりありませんし、誰にでも作れてしまうわけです。
私たち有川革嚢工業は自らをゴルフグローブ専門工場、と言っている以上、それでは満足しないわけです。
合成皮革とマイクロファイバー
ショップで売られているゴルフグローブは、天然の羊皮を「革製」と呼び、それ以外の素材はどんなものでも「合成皮革製(合皮)」と呼んで販売しています。言葉だけ聞くと、合成皮革という言葉の響きに、なんだか安っぽい感じがしたり、すぐにダメになっていくような品質の悪さをイメージする人も多いと思います。
たとえばゴム系樹脂の合成皮革製のグローブだと、使っているとすぐに表面のプリントが剥がれたり、穴が開いたと思ったらそこから裂けるように破れたりと、なかなか満足のいく合成皮革のグローブに巡り合えることができなかったと思います。
ここ最近になってやっと、マイクロファイバーやナノファイバーといった繊維系のグローブが増え、少しは「合成皮革」という言葉のイメージも見直されつつあります。思っていたよりも丈夫だったりしなやかだったりで合成皮革の先入観を覆し、よく売れているように感じます。
そのうえで製品1つ1つのばらつきが少なかったり、革のようなメンテナンスに気を遣わなくてよかったりと、ゴルフグローブとして性能が優れているのが実際のところです。
ごく一部の人だけは、こういった繊維系のゴルフグローブのほうがいい、ということを知っているのですが、まだまだ認知度は低いようです。
マイクロファイバーの特徴
マイクロファイバー、ナノファイバー、極細繊維で云々。これらは「繊維の1本1本がとても細くやわらかいですよ」ということをメリットのように売り文句にしているのですが、はたして繊維は、細ければ細いほど、柔らかければ柔らかいほど良いのか?
柔らかな繊維はいいことなのですが、それだけではゴルフグローブの役割としては不十分です。
余分な力をいれずともグリップ力が発揮できる、またはその性能が長く維持できる、というのがゴルフグローブの本来の役割のはず。
そうすると、もはや市販のグローブではソフトすぎるのです。
言い換えると、弱すぎる、の一言に尽きます。
あくまでゴルフグローブとして考えるならば、ただ薄いだけ柔らかいだけの生地では、いいグローブを作ることはできないのです。
有川革嚢工業の特殊マイクロファイバーはここが違う!
では、そんな生地と特殊マイクロファイバーはどう違うのか。
それは、繊維の太さと形状にその特徴があります。
台所や浴室の掃除に便利なメラミンスポンジというものがあります。白いアクリルスポンジで、洗剤いらずで汚れ落としができるというので、最近は比較的メジャーな存在になっています。これは固めの繊維が汚れを引っ掻きスポンジの隙間に汚れを取りこんでいくので軽い力で表面をなでるだけで綺麗になる、という仕組みです。
当社のゴルフグローブは、実はそのメラミンスポンジと原理が似ています。
当社のマイクロファイバー生地は、一見手芸用のフェルトのような生地なのですが、ざらざらとした固めの繊維がラバーグリップにしっかり食い込み捕まえることによって、グリップ力を発揮・維持させます。
そんな仕事をする生地なので、繊維の先端はするどく尖っているほうがありがたいし、1本1本にハリとコシがないといけません。
ただし、かといって、ある程度柔らかくないと手袋として手になじまないので、硬すぎるのも困る。そんなちょうどいいバランスの生地はどれだけ探しても見つかりませんでした。だから、独自にゴルフグローブ専用のマイクロファイバー素材を研究し、開発したのです。
そんな特殊マイクロファイバー繊維を試してみたい
当社グローブのカタログをお送りする際に、小さな切り見本を付けて送付いたしております。
指先でその感触を確かめてください。
その感触のまま、オーダーメイドでぴったりのグローブが仕上がるとどうなるか、想像してみてください。
この生地を使ったグローブ